本レポートは、茨城県立IT未来高等学校 IT科長・阿南統久先生にご執筆いただきました。
2025年11月4日(火)、茨城県立IT未来高等学校にて、学校側の「生徒に競技プログラミングにもっと興味をもってもらいたい」との思いから、AtCoderの高橋直大氏に講演を依頼し、実現しました。

IT未来高校は開校3年目で、情報科のみの専門高校という全国的にも大変珍しい学校です。今回は、1年次生68名を対象に、「外部機関との連携による最新技術等の知識の習得」を目的とした「ITセミナー」という総合的な探究の時間において、「プログラミング学習と生成AI」というタイトルで100分の講演を実施しました。

講演ではまず「競技プログラミングとは?」という基礎から始まり、アルゴリズム部門とヒューリスティック部門の違いを、実際の問題を用いながらわかりやすく解説していただきました。

また、生成AIが普及した現代において、プログラミングが実際にどのように行われているかを、Devinを実例に用いながら、今後のエンジニアに必要な3つのスキル「問題解決力・AI活用力・タスクを委任する力/非同期で働く力」の重要性について解説していただきました。生成AIがコードを書くようになっても、コードの善し悪しを判断するためには、自分自身がコードを書ける必要があること、アルゴリズムを学ぶことの意義や幅広く学ぶことの大切さを、高橋直大氏の経験に基づいた説得力のある言葉で伝えていただきました。生徒それぞれがそれをしっかりと自分事として受け止めていたことが非常に印象に残りました。

講演後の生徒の感想も非常によく書けていましたので、その一部を紹介します。
「IT未来高校に入学してから、ITセミナーを通して実際に業界で活躍する方々の話を聞くと、AIに仕事を取られるのではなく、上手い具合にAIに仕事を振り分けて、人間側の手間を無くしつつ、効率も良くしていくような活用の仕方をしてる人が多かったり、授業内でも、GeminiなどといったAIを活用する場面があったりと、中学時代の先生方や同級生たちと、今の高校の先生方や同級生たちのAIに対する認識の違いのようなものが出ていて少し面白いなと思いました。」
「生成AIについては、生成AIの時代に取り組むこととして生成AIを利用しないコーディングと生成AIを利用するコーディングがあり、前者はプログラミングによる論理的な記述や考え方を学ぶことで、後者は日本語による適切な指示と試行錯誤を学ぶことであるが、結局はコーディング以外の広範囲な知識をつけたり、世の中を色々知ることも大切だと知りました。」
「今後のエンジニアは技術力だけでなく、柔軟に問題を発見し解決する力が求められると感じました。AIの発展により多くの作業が自動化される一方で、AIを適切に活用し、得られた結果を正しく判断する力が重要になる。特にコードのセキュリティホールやバグを見抜くには、人間自身がコードを理解し、AIをいい感じに使うのが不可欠だと思う。タスクを委任したり、非同期的に働いたりするスキルも、チーム開発やリモートワークが進む現代では重要性を増している。さらに、データ量の増加に伴って計算時間がめちゃくちゃかかるため、効率的な処理を実現するアルゴリズム設計の力も欠かせない。今後のエンジニアは、AIを「使う」だけでなく「使いこなす」ための問題解決力と論理的思考力を磨き続ける必要があると感じました。」
今回の講演を通して、高橋直大氏のお人柄やプログラミングに対する考え方に触れ、生徒に対して、プログラミングやアルゴリズムを学ぶ楽しさをどのように伝えるべきか、とても勉強になりました。また講演後には、教員との歓談時間も設けていただき、今後のプログラミング教育における生成AIにどのように向き合えばいいかなど、示唆に富むアドバイスがいただけたことは、生徒だけでなく私たちIT科教員にとっても大変貴重な経験となりました。深く感謝いたします。
茨城県立IT未来高等学校 IT科長 阿南 統久
「競技プログラミングの世界とその魅力」基本講演のご案内
AtCoder株式会社代表取締役社長・高橋直大が、「競技プログラミングの世界とその魅力」について無料で講演を行っております。 「競技プログラミングとはどのようなものか知りたい」「競技プログラミングに取り組む生徒を増やしたい」といった学校に向けて、オンラインまたは現地訪問にて実施いたします。 実施日や形式(対面/オンライン)は個別にご相談を承りますので、下記メールアドレスまでお気軽にご連絡ください。
お問い合わせ先: AtCoder株式会社 AJL運営事務局 お問合わせメールアドレス :ajl.support▲atcoder.jp (▲を@に変えて送信してください。)